陽風を感じて

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PBP2007レポ(9)

2007 09/17
(月)

(8)からつづく・・・

■ 8/23(木)~24(金) PC10~フィニッシュ


  • PC10: Tinténiac(タンテニアック) … 860.0km

  • PC11: Fougères(フジュール) … 916.5km

  • PC12: Villaines-la-Juhel(ビレイン・ラ・ジェル) … 1002.5km

  • PC13: Mortagne-au-Perche(モルターニュ・オ・ペルシェ) … 1084.5km

  • PC14: Dreux(ドルー) … 1158.5km

  • Finish: Saint-Quentin-en-Yvelines(サンカンタン・アン・イヴリーヌ) … 1227.0km




10:20頃、PC10・Tinténiac(タンテニアック)に到着(866.0km)。ここでは外のテーブルで桃を食べたことを覚えている。ベンチで少し寝ていこうかと思ったが、なぜかやめた。タンデムの自転車で挑戦している日本人ペア(たぶんご夫婦)が休んでいらっしゃるのを見かけた。

13:50頃、PC11・Fougères(フジュール)に到着(919.4km)。ここでの記憶はほとんどない。

たしかタンテニアックかフジュールを過ぎたあたりだと思う。不思議なことが起こった。それまで感じていた脚の疲れや筋肉痛が、嘘のようにまったくなくなってしまったのだ。「限界を超えた・・・!?」そんな言葉が頭に浮かぶ。上り坂でぐいぐい漕いでも全然平気。上りのたびに同じ人を何度も追い抜いたので(休んでいる間や下りでは逆に追い抜かれてしまう)、「またこいつか」という感じで失笑されてしまった。

実際には限界を超えたというより、感覚が麻痺しただけなのだろう(そんな突然回復するわけがない)。自己防衛本能が働いて、苦痛を感じる脚の神経から脳へのインプットが遮断されたのかもしれない。今後もし感覚が戻ってきたときのことを考えるとあまり調子には乗れないが、とにかく脚の疲れがなくなったことでとても楽になった。それにしても、人間には自分で思っている以上の不思議なパワーがあるものだ・・・。

もうひとつ。始終睡魔につきまとわれ、辛い辛いと思って走っていたが、見れば外国人でも道端で寝ている人がいる。また、そろそろ尻痛も気になってきたが、外国人でも尻を横にずらしてサドルに座っている人がいる。なんだ、辛いのは自分だけじゃない。みんな同じじゃないか! そう思うとすごく元気がわいてきた。いってみれば当たり前のことで、このときの気持ちをうまく表現できないが、自分にとっては大きな「発見」だった。

800km~900km台という、おそらく距離的には完走できるかできないかの分かれ目となるところでこのふたつの出来事があったおかげで、自分は完走できた・・・と思う。

途中、今まで通ってきたフランスの田舎町の中でも最高にいい雰囲気のところがあった。町の出口にある看板を見ると「LASSAY」と書いてある。いつかまた訪れたい、この地名は絶対に忘れないでおこうと繰り返し何度も頭に刻み込んだ。

19:00頃、PC12・Villaines-la-Juhel(ビレイン・ラ・ジェル)に到着(1007.5km)。


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往路でもそうだったが、ここはかなりの賑わいだ。スピーカーからは男性アナウンサーの声が響き(おそらくこの電波のせいで、心拍計の表示が200を超えてしまったが)、音楽にあわせてダンスをしている人たちもいる。


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食堂ではコーラとクロワッサン、パン・オ・ショコラを食べた。このパンがとてもおいしくて、「そういえばコーヒーも飲んでおかないと」とコーヒーを買うついでにパン・オ・ショコラをもうひとつ食べた。さすがフランスはパンが主食の国だけあって・・・かどうかはわからないけど、どこへ行ってもパンはおいしかった。

ちなみに、最初「ショコラ」と注文したら「ショコラは置いてない」と言われ、隣の人が「パン・オ・ショコラだろう」と助け船を出してくれた(全部フランス語なので「たぶんこう言っていただろう」ということだが)。たしかに「チョコレートパン」のことを「チョコレート」と言って注文するのと同じだなあ。ついでに書いておくと、PBP中何度もコーヒーを注文したので「カッフィ~」の発音だけはうまくなったと思う(笑)。

自転車のところへ戻り出発しようとすると、目の前にいた現地の人が前輪のあたりを指差してなにか言っている。見ると、そこに捨てていくつもりでさっき私が置いた眠眠打破の空きビンのことを指摘しているようだ。「忘れ物だよ」と教えてくれたのか「そんなところへ捨てていくなよ」と怒られたのかはわからないが、もし後者だとしたら厳しいね~。まあ、自分の街を汚されるほうの身になればわからないわけじゃないけど。

ビレイン・ラ・ジェルの街を抜けると、しばらく下り坂が続く。夕暮れ時の雰囲気も相まって、「自分はなんでこんな外国の道を走っているんだろう・・・」とあらためて不思議な気持ちがわいてくる。やがて夜が訪れ、ゆるやかに上る長い直線道路に入った。一緒に走るつもりで追い抜いた人は後ろに遠く離れてしまい、前にもはるか彼方にポツンと赤い光が見えるだけ。テールランプかどうか確信が持てない。真っ暗な道で1人きり。進路を示す矢印を見落としてしまったんじゃないかと不安になる。

それでもいつの間にか集団と一緒になった。長い真っ暗な道も終わり、ようやく前方に街の明かりが見えてくる。街で少しばかり休憩し、先へ進むと再び真っ暗な道に。

次のPCまであと数kmのあたりだろうか。突然、ハンドルにガタガタガタガタ! とものすごい震動が。ガタガタガタガタ!

「・・・ありえね~!!!」

信じられないほどの荒れた路面だ。暗くてよくわからないが、石畳の上のアスファルトがまだらにはげているような感じ。フランスの路面はあまりよくないと聞いていたが、今までは日本と大して変わりなかった。でもここの荒れ方は尋常じゃない。想像を絶する振動だ。PBPのコースなんだし舗装しなおせよ! と言いたくなるが、もしかするとPBP名物としてわざとそのままにしてあるのかもしれない。この路面がしばらく続いた。いや~、とにかくすごかった!

翌24日の0:30頃、PC13・Mortagne-au-Perche(モルターニュ・オ・ペルシェ)に到着(1088.3km)。このレポートには「○日」と書いているが、すでに今日は何日とかスタートから何日目とかいう感覚はなくなっている。

ここは何かのホールだろうか。体育館ではないようだがかなり広い。食事をした後、ホールの壁際に寝転んで1時間半ほど仮眠した。


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自然に目が覚めて腕時計を見ると、アラームをセットした時刻を10分ほど過ぎている。うまくセットされていなかったようだ。寝過さなくてよかった。洗面所で歯を磨き、コーヒーを飲んで3:36に出発。たしかここでは霧雨が降っていたように記憶しているが・・・実際はどうだっただろう。「冷たい」という印象が残っている。

暗い山道に入る。数人で一緒に坂を上る。静寂の中、隣を走る人の息遣いが聞こえただろうか。薄くかかる霧に前照灯の白い光の筋だけが浮かび上がる。

いつしか集団になっていた。眠い眠い。道路脇になにか電気設備のようなものがあったので、その前に座って5分ほど仮眠。

真っ暗な道では自分が上っているのか下っているのかさえわからなくなる。奈落の底へ果てしなく落ちていくような感覚。集団とともにひたすら走り続ける。一体いつまで続くのだろう? 早くこの状況から逃れたい。再び眠気に耐えられなくなり、道路脇の民家のブロック塀(かな? フランスにしては珍しいような)の前に転がって5分ほど仮眠。

そこから少し進むと、大きな建物が集まって明かりのあるところがあった。そこでまた少し休憩する。とにかくこの眠気をなんとかしたい。今までの経験から明るくなれば眠気が覚めるはずだ。頼む、早く夜が明けてくれ。

やがてうっすらと周りの景色が見えはじめ、ようやく朝が訪れた。広い平原のようになっている。いつの間にかこんなところを走っていたのか・・・。思ったとおり明るくなると眠気もなくなり、脚が快調に回りはじめた(後でプロフィールマップを見るとゆるやかな下り坂なので、そのせいもあったのだろう)。一気にスピードアップ。それまで同じようなペースだった人たちを引き離して、次のPCに飛び込んだ。

7:30頃、PC14・Dreux(ドルー)に到着(1163.2km)。これが最後のPCだ。ついにここまでやってきた。


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ここも中はかなりの広さで、シャワー室も完備していた(すでに十分な時間の余裕があったのだから、中の写真も撮るべきだったなあ・・・)。パスタやスープを食べた。パスタを注文するときに「たくさんか、少しか?」と聞かれたのでしばし考えて「・・・middle.」と答えたら笑っていた。子供の頃にも親に同じことを聞かれて「中くらい」と答えたら笑われたのを思い出す。でも、たくさんでも少しでもなくて「中くらい」が欲しいときってあるよねえ(笑)。

食事の後、机にうつぶせになって少し寝てから出発。畑の中の道に入る。


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ここまでくればもう急ぐ必要はない。みなゆっくりとリラックスムードで走っている。


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しばらく走ると前方に小さな町が見えはじめ、そこを通り過ぎるとまた畑の中の道に・・・というのを繰り返す。こういうフランスの素敵な町ともあと少しでお別れだ。

来るゴールに備えて、みんなレインウェアや反射ベストを脱いで正装している感じ。私もレインウェア、反射ベストとスタートから着続けだった長袖ジャージを脱ぎ、PBP公式ジャージ姿になった。

やがて山道に入った。道幅といい勾配といい日本の山道によく似た雰囲気で、このPBPでは今までにはなかったタイプだ。いろんな地形を走ってもらおうという運営者側の心遣いだろうか。本当にいろんな道を走ってきた。

山道といっても都市に近いせいか、人家が多い。数人で応援していたオジサンの1人が、私のことを日本人と見て「ヤマモト~!」(モにアクセント)と声をかけてきた。後ろ手に「ちがうっちゅ~ねん」という感じで手を振ったら受けていた。フランス人に受けて嬉しかった(笑)。

いよいよサンカンタンの街へ入る。ゴールまであと少しなのに、信号が増えてなかなか前へ進めなくなった。


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上下お揃いのジャージでバッチリ決めた、金髪の若い女性が信号待ちで追いついてきた。かなり飛ばしているようだが、本気を出せばこっちのほうが速いくらいだぞ。なんとなく「こいつには負けたくない」という気持ちになり、ペースを上げた。その勢いで体育館前のロータリーに入り、ついにゴール! 大勢の観客の中にいた何人かの日本人の方が気づいてくれたようだ。

体育館の中で最後のチェックを受ける。下の写真はその瞬間。時刻は12:31、スタートから86時間41分だった(走行距離は1232.3km)。


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食堂(仮設のテント)へ行き、昼飯を食べる。実はもう少しでハンガーノックになるところだった。ビールはゴール時にもらった無料のチケットで、そのほかステーキ、ポテト、ハム、チーズ、フルーツポンチ、パン。


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レジの女性に「Are you Japanese?」と聞かれたので「Yes.」と答えると、少し日本語ができるようできれいな発音で「18ユーロです」と言われた。こちらも日本語で「ありがとう」とお礼を言う。しかし今考えると18ユーロ(約2,800円)って高いな! まあそれはともかく、1200km走ってきた直後にこれだけの食欲があることに自分でも驚いた。遠近感で小さく写ってしまっているが、ステーキも結構な大きさがある。

ゆっくり時間をかけてお腹いっぱい食べてから、1人ホテルへ戻る。スタート前にちゃんと道を覚えておかなかったツケであちこち迷いながら、なんとかホテルに辿りついた。

(10)につづく・・・

コメント

のむさん、こんばんは。

感動のゴールですね!
覚醒したのむさんは今金髪になってスーパーのむさんになっているのでしょうか?(笑)

それにしてもさすがおフランス、自転車乗りもパリでは身だしなみに気をつかうんですね(笑)
畑の中の写真もすごいですね、日本ではちょっと見られない景色です。

PCではものすごい数の自転車ですがすぐ見つけられるものなのでしょうか?

by: taka * 2007/09/18 22:05 * URL編集

takaさん、こんにちは。
いや~、私もPBP完走すれば少しは人間が変わるかと思っていたんですが、
まったくそういうことはないですね(笑)。

> PCではものすごい数の自転車ですがすぐ見つけられるものなのでしょうか?

これは自分の自転車をってことですよね。
停めるときに「ここに停めた」って意識するようにしていたので、どこだったっけ?
ということはありませんでした。
今思うと、たしかにあれだけの自転車の中で毎回よくすぐに見つけられたと
思いますね~。

(あ、そういえば上から3枚目の写真のビレイン・ラ・ジェルでは、自転車を
停めるラックに番号がふってあったのでそれを憶えました)

by: のむ * 2007/09/19 19:51 * URL編集

のむさん、こんにちは。
たびたび出てくる"たぶんご夫婦"です。実際にちゃんと夫婦です。
埼玉とか千葉とか宇都宮で見た青と黄色のランドナーはフランスでは黒いタンデムに変身しました。
今度会ったら声かけてくださいね。

by: tomo & kaz * 2007/09/21 19:22 * URL [編集

tomo & kazさん、こんにちは。

> 実際にちゃんと夫婦です。

いやいや、失礼しました~(笑)。
tomo & kazさんのお名前は何度も目にしていましたが、実際の方と結びついていなくて。
いつも1人で走っている私にとっては、スタートからゴールまでほかの人のペースにあわせて走るなんて想像もつきませんが、PBP中にお見かけしたときは「ああやって一緒に励ましあえる人がいるといいな~」とうらやましく思いましたよ。
来年どれだけブルベに参加できるかまだわかりませんが、宇都宮をメインにSRは取りたいな~と思っています。
またお会いしましたらよろしくお願いしま~す。

by: のむ * 2007/09/22 20:05 * URL編集

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